「え、七瀬さんを探してたの?なんで!?」









「七瀬さんって『王子様ファンクラブ』にも入ってないでしょ!?なのに王子様をひとりじめするなんて…………!」









「遥斗くんはみんなのものなの!勝手に奪ったら許さないよ!」









へぇー、『王子様ファンクラブ』なんてものがあるの?
すご~い。









しかも「誰のものにもなっちゃいけない」なんて…………王子様は現代の人気アイドルか!?









そういえば…………『ラブ☆プリ』の男の子たちも、恋愛は禁止だったなぁ……………。









彼らに次元を越えて恋する女の子には、すごくありがたい設定だよね!









「めぐみ?王子様、呼んでるよ?…………聞こえてないの、めぐみ!?」









………………もちろん、聞こえてますよ?









……………………でも、だけど!









どうしても認めたくないから、こうやって現実逃避してるんじゃないですか!!









「……………な、七瀬さん?僕、話したいことが………」









「そうよ、遥斗くんが呼んでるのに!」









「無視するなんてサイテー!聞こえてないの、七瀬さん!?」









結衣だけでなく、王子様と女の子たちまで私を現実に連れ戻すつもりらしい。









……………やだよぉ、戻りたくないよぉ…………。










「七瀬さん?来ないの?なら……………」









いつまでたっても椅子から立ち上がらない私を見て、王子様は笑みを浮かべた。









いつも女の子が言っているような優しい笑みを。









「もういいよ、じゃあね」とか言ってくれるの?やった!









ついでにこの関係にも「じゃあね」してくれないかな?









……………なんて、そんな考えは甘かった。









王子様は、その笑顔の下に意地悪な素顔を隠していた……………。