「あ、あなたは…………誰ですか!?」









「誰って………高梨 遥斗………お前の言ってた『王子様』、だけど?」









俺様男は、当たり前のようにそう答える。









「う、嘘でしょ!?だって、そんな…………」









噂で聞いた王子様と、全然違う。









優しい笑顔と模範的な行動で、女の子にモテてるんでしょ!?









こんな人、まるで別人じゃん!









「嘘じゃねぇよ。これが、本来の俺。『王子様』とか呼ばれてるのは、ニセモノの俺」









ニセモノの…………王子様?どういうこと………?









「だから、あっちの俺は自分でつくってんの。で、こっちが本物の俺」









「それ………女の子たちには?」









「言う訳ねぇだろ、面倒くせぇし。『王子様』のほうが信頼されやすいしな」









「…………私、女の子たちに言ってくる」









「……は?」









だって、こんな男に騙されてる子たちが可哀想だよ!









早く、目を覚まさせてあげないと!









「何言ってんだ、お前。そんなことしたら………









全校生徒にバラすぞ?七瀬さんはアニメオタクです、って」









「っ………!?」









そのことは、結衣にしか言ってないはずなのに。









何で、何で知ってるの………!?