王子様に連れて行かれること数分。









掴んだままの右手首は、離してくれそうにない。









女の子の視線が痛いんだけど………………!?









「……………あの~…………」









「………………」









いくら話しかけても、王子様の返事はない。









……………というか、私、どこに連れて行かれるんだろう?









まさか、ぶつかった腹いせにボコボコにされる……!?









まずい、早く謝らないと!!









「お、王子様!さっきはぶつかってごめんなさい!何でもしますから、許して下さい!」









必死に頭を下げた……けど、やっぱり王子様は何も言わない。









「…………あの、王子様………?」









心配になって顔を上げた瞬間。









「………王子王子、うっせーんだよ」









王子様が冷たい声を出した…………気がした。









ううん、きっと気のせいだよね!









王子様が、あんな声出すはずないもん!









「ほら、行くよ?」









うん、噂通りの優しい声だ!大丈夫!









ただ………王子様の歩くスピードが、すっごく速くなった。









思わず、こけてしまいそうなくらいに。









なんか、悪い予感がする……………。