「帰るわけないだろ。仮にもデートだし、そんなことしない」



佐伯くんのその言葉に、無意識に離していた腕。


なんだ、佐伯くんもちゃんとデートだと思ってくれてるんだ。


そう思うと、段々私の頬が緩んでいって。



「ほら、さっさと行くよ。カフェ連れてってくれるんでしょ?」



「…っ、うん!」



相変わらず無愛想で、笑顔一つさえ見せないけれど、優しくて優しくて。


涙が零れそうになるのを必死に堪えて、今度は佐伯くんの隣を歩きながら私のオススメするカフェへと足を向ける。