「佐伯くん、カフェ行こうよ、カフェ!!美味しいところ知ってるんだ!」 私は、そう言って半ば強引に佐伯くんの腕を引っ張って歩き出した。 「痛いから、離して」 佐伯くんを引っ張って歩いていると、後ろから聞こえたその声に、私は思わず足を止める。 「離したら佐伯くん、帰らない?」 今この手を離したら、すぐにどこか遠くへいっちゃいそうで、怖いから。