「大好きなんだ」
懸命に鳴く鈴虫の声に負けそうなほど、柔らかく囁かれた。
束ねたすすきを抱いた私へ、月見団子の載った大皿を抱えた彼に。
永遠を願う月の宴へと、向かう途中のあぜ道で。
ふわりと、微かで冷たい風が、私と彼の髪を揺らす。
これは…夢、ね。
ずっと前の夢。
私の、忘れそうなほど遠い記憶の、ずっと忘れられない夢。
だからこそ。
今が、私のおわりと悟った。
長い永い私の思い出の中。
はじめに抱いて、おわりまで忘れられない夢。
叶わない夢…。
そう、彼が好きなのは……。
私、では有り得ない。
ああ、夢が夢のまま、終わりませんように。
せめて、おわりの夢の中でだけでも…。
懸命に鳴く鈴虫の声に負けそうなほど、柔らかく囁かれた。
束ねたすすきを抱いた私へ、月見団子の載った大皿を抱えた彼に。
永遠を願う月の宴へと、向かう途中のあぜ道で。
ふわりと、微かで冷たい風が、私と彼の髪を揺らす。
これは…夢、ね。
ずっと前の夢。
私の、忘れそうなほど遠い記憶の、ずっと忘れられない夢。
だからこそ。
今が、私のおわりと悟った。
長い永い私の思い出の中。
はじめに抱いて、おわりまで忘れられない夢。
叶わない夢…。
そう、彼が好きなのは……。
私、では有り得ない。
ああ、夢が夢のまま、終わりませんように。
せめて、おわりの夢の中でだけでも…。