なにも覚えていなかった。 白い壁、白いカーテン、…白い記憶。 すべてが白い日。 私は真っ白で、でもこれで良いのだという気がしていた。 辛いことがあったとしても、 楽しいことがあったとしても。 覚えていなければ、苦しくなんてない。 記憶がない、それは心許ないけど、 でも、それで良いのだという気がしている。 ふわふわと、微睡んでいるかのような気分で、あお向けにベッドに転がる。 やわらかく、あたたかい。 守られているような安心感。 たぶんこれまでで一番の、 幸せな白い日。