恋じゃないと願うだけ







視界はボヤけ目の前の光景にモザイクをかけているようだった。




これが現実。




溢れ出す涙は止まる事はなく、ただ静かに流れ落ちていく。






キュッ…





上履きの擦れる音で拓君が振り返る。









「あの、
えっと…

ごめ…んなさ…い」






うまく言葉が出ないまま




あたしは走り出していた。










どうしてだろう。


最初から分かっていた事なのに



心がそれを受け止めきれない





考えれば考えるほど思うのは


自分が思っていた以上に彼を好きになっていたという事だった。



叶わない恋なのに




今、失恋したばかりなのに





加速していく気持ち




やり場のない思い




溢れる涙を拭いながら



真っ直ぐ続く廊下をかけて行った。