― 結香side ―





「結香…本当にもういいの?」





「うん。

もういいの。

多分あたしが連絡した所で迷惑だと思うから…」





駅で旬君を見た時から一ヶ月が過ぎようとしていた。




「でも…」




「大丈夫だから♪

もう学習したし…

心配しないで?」





本当は大丈夫なんかじゃない。

今でも旬君を思うと辛くて泣き出しそうだ。



あの日、旬君を駅で見かけた日…

勇気を出して旬君に電話した。


でも、旬君は出なかった。


苦しく心が折れそうな日々は淡々と過ぎて行った。







もうこれ以上は志穂に心配かけられない。





長い間、志穂はずっと一緒にいてくれた。


毎日のようにうちに泊まり、彼氏とも会わずに親身になってくれた。



あたしを一人にしないように。



そして、また間違った道へ行かないように。