「元気だったな、大野」


帰りの車の中で、安堵したように順がつぶやく。
私から倒れた時の話を事細かに聞いていたからこそ、余計に心配だったらしい。
でもそれは、彼女の底抜けの明るさで全て吹き飛んだ。


安心したのは私も同じ。
ふふふ、と順に笑いかけた。


「あとは赤ちゃんが無事に元気に産まれてきてくれればいいね」

「だね〜。可愛いだろうなぁ。どっちに似るのかなぁ〜」

「………………」

「………………」


2人で顔を見合わせて、ブハッと吹き出す。
どうやら同じ想像をしてしまったらしい。


「ちょっと順、須和に似てる子供を想像したでしょ!」

「ち、違……くない、ごめん!でもさ、でもさ、柊平に似ちゃったら、ムスッとした赤ちゃんになるんだよ?」

「あはははは、もう、笑わせないで!」

「大野のマシンガントークを聞いて相槌を打つだけの赤ちゃんじゃありませんように」

「ダメだ〜、笑いすぎてお腹痛い……」


2人でヒーヒーお腹を抱えて笑い続け、ようやく笑いが収まってきた頃。
運転しながら順が話しかけてきた。


「なぁ、奈々」

「ん?」


目尻に溜まった涙を指で拭きつつ、彼の横顔に目を向ける。