コズのいる病室は4人部屋だったはず。
確か先週はコズを含めて3人が使用していたが、今日は満床になっていた。


それぞれカーテンが締められていて、中の様子をうかがい知ることは出来ない。
4つのカーテンのうち、1つから抑えたような笑い声が聞こえてきた。
私と順は思わず同時に笑みを浮かべる。
間違いない、コズの笑い声だ。


カーテンをそっと開くと、爆笑したいのを我慢しているコズと呆れたような顔で話を聞いている須和がいた。


「コズ!」

「あ!奈々!田嶋〜!」


声をかけると、パッとコズの顔が笑顔になった。
良かった、ものすごく元気そう。
一瞬にして安心した。


須和がイスから立ち上がって私たちに譲ってくれて、彼は代わりにコズのベッドの端に腰かけた。
せっかく空けてくれたので、促された通りにイスに座らせてもらった。


カーテンで仕切られた狭い空間に大人が4人。
なかなかの人口密度だ。


「大野、大変だったな」


順にそう言われて、コズは申し訳なさそうに肩をすくめた。


「田嶋も来てくれてありがとう!ごめんね、心配かけちゃって。仕事も、私のせいで奈々たちに迷惑かけちゃってるよね」

「だーかーらっ、それは気にしなくていいんだってば」


コズは変なところ真面目だから困る。
私は腕組みをしてベッドに座る彼女をわざとらしく睨んでおいた。