そこからはもう無我夢中だった。
すぐさまコズに駆け寄り、ぐったりする彼女の体を支えて名前を呼んだ。


「コズ!コズ!!ねぇ!!どうしたの!?ねぇ!!………………え…………?」


コズが着ていたワンピースの裾から、赤い何かがチラリと視界に入った。


━━━━━出血している。


パニック寸前の頭の中で、彼女の体に何か良くないことが起こったのだということだけは分かった。
着ていた黒のロングカーディガンを脱いで、彼女の腰から下を覆い隠した。
周りに見えないように。


ダメだ、私、手が震えてる。


カタカタ小刻みに震える手では、携帯もうまく扱えないことは容易に想像出来る。
だから、騒然とする店内で叫んだ。


「誰かっ!救急車を呼んでくださいっ!!お願いします!早く!!」


叫びながら、腕の中で目を開けない親友を抱きしめた。




お願いします、お願いします。
神様仏様、お願いします。

私の結婚なんてどうなってもいいから、コズとお腹の赤ちゃんだけは助けて下さい。

お願いします、お願いします……………。


涙でぼやける彼女の顔を見つめて、必死に祈った。