「こ、これは確かに……貴重な写真だな……」


思わずゴクリと唾を飲んで写真をガン見していたら、背後から素早くその写真を奪われた。
ハッとして我に返ると、柊平が鬼のような形相で立っていた。


「没収」

「そんな〜!もっと目に焼きつけたいよ〜!!」

「焼きつけなくていい。怖い」

「怖くないってば!でも良かったらここでちょっと脱いでみても全然いいよ〜!」

「…………冗談に聞こえないから怖いんだよ」


柊平はそそくさと健悟くんを抱っこしたまま写真立てを持って、リビングから出ていってしまった。
バイである俺を警戒しているらしい。
いや、それは無理も無い。
俺はかつて彼に好意を持っていたことは確かな事実だからね。


「驚いたな〜、筋トレが趣味なの?程よい体つきで好みだな〜」


うっかり本音が漏れる。
だけど俺のそういう面を知っている梢は動じることなく、ウンウンとうなずいた。


「私も初めて見た時ビックリしたのよね〜。あ、筋トレじゃなくて、ヤツの趣味がボルダリングなのよ」

「へぇー!それは意外だ!」


会社の事務所でも名前と顔が一致する人はあまりいないんじゃないかと思うほど、けっこう地味な柊平。
話せば話すほど面白い奴だなと感じていたけれど、そんな趣味があるとは!
人様の旦那とは言え、ときめいた俺。いかんいかん。