初夏。晴れ。日曜日。
梅雨のシーズンが過ぎたところ、どうやら世間の目は俺を輝く太陽だと思ってるらしい。


ふふん、どうぞどうぞ、いくらでも見てくれよ。
見るだけタダだからね。
なんたって俺、超イケメンですから。
自負してます、このハンサム具合。





俺の名前は、高槻優斗。
年齢は31で、身長は180センチ。
毎月1回の美容室は行きつけの、ものすごく腕のいいかっこいいお兄さんのいるところでお世話になっていて。
ダークブラウンの髪色も、流れるようなサラッとした髪型も、どれもお気に入りだ。


そう、人は俺をこう呼ぶ。
「イケメン」「王子様」「パーフェクト」!


そんな俺がバイであることは、……まぁ、なんていうか……なるべく他人には伏せてることではあるんだけどね。
でもほら、こんな俺でも彼女いるし!
結婚の約束もしてるし!


その彼女に「藤崎の地下にあるパルポーってお店でゴットというお菓子を買いなさい!きっと大野さん、喜ぶから!」と半ば命令されたお菓子を買い、ちょうど地下鉄南北線の八乙女駅を降りたところだ。


人より声が大きくて、人より胸も大きくて、人より態度も大きい俺の彼女、久住愛里ちゃん。
同じ会社の総務課に勤めてて、俺の一目惚れから始まった。
彼女はひと昔前のちょいダサなメガネをかけてるけど、それを外すとつぶらな瞳がまた綺麗で、いやなによりも胸が大きくて、いやなによりもお尻もプリッとしてて…………。


え?愛里ちゃんの話はどうでもいいって?
マジか。じゃあやめておきます。スミマセン。


俺があまり馴染みのない八乙女駅に降り立ったのは、理由がある。
とある夫婦に会いに来たのだ。