それから2人で手を繋いで花火を見て、おでんを2人で分け合って、2人で少し歩いて。沢山笑い合った。
次の日も仕事があるし、花火を見終わって少し経ってから帰路についた。


「離れがたいけど、また明日」


強引に抱き寄せてキスしてアパートに持ち帰りたい気持ちをどうにかこうにか押さえつけて、紳士ぶって彼女にそう言って手を振った。


「はい、また明日」


東山さんも車から降りた場所から動かずに、ずっと手を振っていた。


ヤバい。幸せすぎる。
こんなに幸せなら明日ハゲてもいい。
そんなくだらないことさえ思ってしまうほどだった。








アパートに帰ってから、携帯を見てみるとラインが届いていた。
東山さんからだった。


『今日はありがとうございました。楽しかったです。幸せすぎて帰ってからまた泣いちゃいました。これからずっと、よろしくお願いします』


その内容を読んだだけで愛しくなった。










神田蓮、26歳。
俺、頑張った。
きっと人生で一番頑張った。


告白して、玉砕して、見守って、また告白して、玉砕して、上司に噛みついて、怯えて、不安になって、勇気を出して、告白して。
実った。


きっと明日から、俺の生活は彼女でいっぱいになる。


甘くて、柔らかくて、とろけるような。
そんな輝く生活になる。


頑張って良かった。
きっとこれは、神様からの頑張ったご褒美だ。
だから恥じないように、以前伝えたように、彼女を全身全霊で愛そう。
心に誓った。








神田蓮の物語

おしまい。