十六年後

「恵、おはよう」

「涼」

十一年前、仕事中の事故で亡くなった準先輩。

悲しみにくれる私を慰めてくれたのは涼先輩でした。

そんな私が涼先輩と結ばれたのは当然のことだったのかもしれません。

「ちょっと二人とも」

「準!」

というのは嘘で

私たちは今もラブラブなのです!

イェイ

「その設定やめようよ。亜里沙も信じてたし。僕たまにしか帰って来られないから嫌に現実味があるんだよ?」

「あはは〜」

「お父さん、
私それ信じてたのは幼稚園までだから……」

抗議するのは私たちの娘

亜里沙

「亜里沙〜早く食べなきゃ遅れるよ」

「遅らせたのはお母さんでしょ!
ああもう急がなきゃ!今日入学式なのに……」

「頑張れ〜」

「お母さん!」

「ほらほら」

「……ごちそうさまでした!
……行って来ます」

「はぁい
行ってらっしゃい」

バタバタと家を出て行った亜里沙。

「さぁー私たちも準備しよっか」

「そうだね」



始まりの季節