住宅地をぬけると

そこは

河川敷。

小さい頃

そうちゃんと遊んだところ。

「そうちゃんのバカッ
バカバカバカ〜ッ」

私は大声で叫ぶ。

そうしたら

フッと力が抜けて

私は草地に直に座り込んだ。

ボーっとしている私の頭の上を

雲がながれていく。

そんな視界がいきなり暗くなった。

「え?」

そう、ちゃん?

そこには

私の顔を覗き込むそうちゃんの姿。

「何、で?」

「お前、いきなり家ッとび出しやがって!」

ハアハアと肩で息をしているところから
そうちゃんが走って追いかけて来てくれたことが分かって

とても

嬉しかった。

「追いかけて来たの?」

「じゃなきゃどうやってここに来たんだよ」

乱暴な言い方だけど

明らかに肯定の意味。

「ありがと……」

でも

「何で追いかけて来たの?」

「は?」

「幼馴染だから?」

「ーーーーッ
違ぇ!」

「じゃあ何で?」

「チッ」

舌打ち?

「好きだからに決まってんだろ!」

はい?

スキダカラニキマッテンダロ?

「えぇえええええええ!?」

そうちゃんが

私を好き?

「そうちゃん……
えっと……ありがと?」

何て言えばいいんだろ?

「こたえは?」

こたえって

「ちょっと待って。
少し考えさせ……」

「今言え」

今?

なら、こたえは

「ごめん」

NO

だ。

私はまだ隼兄のこと

忘れられてない。

まだ他の人を好きになる自信がないから。

ごめん。

「本当にごめんね」

「謝んな!」

「ご、ごめん」

「謝んなっつってんだろ!」

「……」

「……」

「そうちゃん。
私、隼兄のこと諦めた。
そうちゃんのこと好きになるように努力する」

だから

嫌わないで。

「努力なんてするな」

「え?」

「努力は俺がする。
お前が俺を好きになるように」

「嫌いになったんじゃ、ないの?」

ポン

と頭に手がおかれた。

「嫌いになるわけねぇだろ」

素っ気ない一言。

けど

すごくすごくすごくすごく





嬉しい一言。

私はこの人を好きになる。

そんな予想があったのは

たぶん

もうこの時には

彼を好きになっていたからだと思う。