ガチャリ

ドアが開いて出てきたのは

隼兄

「るー?
どうしたんだ?」

「そ、そうちゃんに〜
プレゼントを持ってきたの〜」

「そうか
早大の部屋で待ってれば?」

私はコクンと頷く。

そうちゃんの部屋に行くのは

いつも通り。

階段を上って

つきあたり。

そうちゃんの

部屋……

私はいつものように

ベッドの上に

腰掛ける。

「早大
早くしろ!」

隼兄の声がする。

返ってきたそうちゃんの声から

今お風呂に入ってるんだろうと

分かる。

プレゼント

喜んでくれるかな。

去年みたいに

つき返されないよね。

手には

ペンケースが入った

ふくろ。

きれいにラッピングされている。

十分ほど経っただろうか。

不意にドアが開いて

ビクッとした。

「そうちゃん」

「どうしたんだ?」

「誕生日プレゼント
渡しに来たの〜」

それで

プレゼントを渡して

終わりのはずだった。

なのに

「へぇー
そんな口実で兄貴に会いに来たのか」

「ち、違ッ」

違うよ違うよ

ただ私は

そうちゃんに

プレゼントを渡したかっただけなのに。

そうちゃんに

喜んで欲しかっただけなのに。

「そうちゃんのバカっ」

私は持っていたプレゼントを

そうちゃんに投げつけると

ドアをバタンとしめ、

そうちゃんの家を

とび出した。