失恋だったのだと思う。

『結婚することになったんだ』

春休み

きれいな女の人を連れてきた隼兄はそう私に言ってから私のことをその女の人に妹みたいにかわいがっている近所の子だと紹介した。

隼兄が私をそうとしか思っていないのは知っていた。

だけど

これまで隼兄が付き合った人たちはみんな長続きはしなくて

もしかしたら

なんて甘い望みを抱いていた。

それも

なくなっちゃったな。

昼間学校にいた時はながさないようにしていた涙が

頬をつたう。

私は涙を流し続けた。

すべての涙を流し尽くせば

明日はまた笑える。

笑顔でいられるからと。

恵や委員長に泣いている顔

見られたくない。

二人とも優しいから

きっと心配する……から。