もう今は違う。

そう分かっていたのに

舞台の上の少女が自分と重なる。

痛み、恐怖

色々な記憶が完全に蘇る。

これまでは朧気であまり思い出すことの無かった。

いや、思い出そうとしなかった記憶が……

『お母さ…ッ
お願ッやめてーーー』

『このクズ
消えちまえ』

みぞおちを蹴られ咳き込む。

だけど誰も助けてくれない。

僕はただ『それ』が終わるのを待つことしか出来なかった。



耐えきれなくなり体育館を出る。

だが、一度思い出してしまった記憶は消えない。

『痛い辛い苦しい』

そんなことは無いはずなのに……