エレベーターが止まらなかった。奇跡だ。まあ、それが普通なんだけど。


「ほら、大丈夫だっただろ?」


扉を開き、自信たっぷりの笑みで私を見下ろすとまた手を引かれる。


すでに痛いほど心臓が高鳴っていたのに、ますます速さを増してきた。

心臓ってこんなに早く動くんだな、ってくらいに。


もつれそうになる足に一生懸命言うことを聞かせながら、必死に社長の横に並ぶ。


いつまで、この手は繋いだままなの?!


きっと、今私真っ赤だ。耳まで熱いよ。
火が出そうだ。





神様、これは何の試練ですか?