珍しい人からの着信に、慌てて留守電を聞くと、
『だめじゃあ。幸子、出らんわー。』
と言うコメントが綺麗に入っていた。
きっと、お父さんか妹にでも言ってるんだろうな。
仕方ないので掛けてみることにする。
「もしもし、お母さん？幸子やけど。」
『あ、幸子？久しぶりー、元気しちょる？』
「うん、元気だよ。どうしたの？」
久しぶりに聞く母の声に、ちょっとだけ目頭が熱くなるのを感じる。
今は疲れ果てているので、余計にしみる。
『あんね、2軒隣の黒木の婆ちゃんなんだけど』
「え、何かあった？」
『うん。今朝亡くなったとよ。』
「…え？」
一瞬、時が止まった気がした。
