「兄貴は小さい頃から、ずっと親父の言う通りに生きてきた。ものすごい優等生だったんだ。
俺が色々自由にできたのも、兄貴が居てくれたおかげだからな。」
「そうだとしても…。」
納得できず、半ば駄々をこねるようにそう言うと、社長は私から強奪したたまごを頬張った。
「やっぱり、ここのおでんは最高だな。」
「……それ、私の卵ですよ。」
「いいだろ。君も、俺の揚げ出し豆腐食べたじゃないか。」
それは、社長が食べろって差し出したからじゃないですか…。
「卵って水分盗られるよな。」
そう言うと、私の熱燗まで強奪。
話逸らされたな。
そして目も逸らされ、社長は壁に張ってある、昭和感の漂ったホッピーのポスターを眺めてる。
でも、本来私なんかが突っ込んで聞いていい話じゃないからな。
当然か。
まあ話し出したの社長なんだけどね。

