「母方の祖父母と叔父さん夫婦が田舎に住んでてな。休みのたびに田舎に行ったよ。」
「……そうなんですね。」
「俺は、ビルに囲まれているより田舎の緑が好きなんだ。
電気機器触ってるより、畑の土弄ってる方が好きだった。」
社長が土弄り…。なんだか想像できないな。
「中学を卒業したら、当時兄貴の教育に夢中だった親父が何も言わないのをいいことに、家を出て田舎の叔父さん家に世話になってたんだ。
俺は一生、田舎で生きていくつもりだった。」
「え…。」
社長は少し遠い目をしながら、何でもないことのように淡々と語り続ける。

