社長が言うと、おでんがすぐに来た。
出汁が染み込んだダクダクの大根は、暴れ出してしまいそうな心臓を優しく抑え込む。
ああ、染み渡る。
さすが、社長に認められたおでんなだけある。
ふと正面を見ると、社長の頼んだ焼酎がきていた。
あ、いけない。そういえばこの人上司だった。というか、自分の会社の社長だ。
お酌、お酌。
「君は?」
慌ててお酌をしていると、社長が私に尋ねてくる。
「いや、私焼酎苦手なんで。」
「は?」
「なんか薬くさい感じがしません?」
社長は、なんでこの旨さが分からないんだ、とぶつぶつ言いながらグラスに口をつけるけど、どうしてもこの味好きになれないんだもん。
酎ハイなら飲めるけど、なんだか焼酎って苦手だ。
どっちかというと、日本酒の方が好き。

