接点が出来たのは、小学二年の夏。


隣のクラスと合同で、ウサギ小屋の清掃当番になった時だ。

とても天気のいい、暑いくらいの時間帯。

もちろん、掃除なんてものは勇樹には関係ないと片付けて、『真面目にしなさいよ!』と大きな声で文句を言ってくる女子たちに押し付ける。

クラスの男子とボールを見つけて、グラウンドでサッカーをしていた。

慌てたように隣のクラスの担任が校舎から出で来たかと思ったら、その教師は真っ直ぐウサギ小屋に向かう。

聖美はその教師に何か言われて、猛然とグラウンドに走りこんで来て、結果としては避けきれなかった勇樹と派手にぶつかった。

お互いに倒れこみ、びっくりした顔でお互いを見た。

見て勇樹は慌てたことも覚えている。

聖美の白い膝から血が流れていたからだ。

綺麗な足が砂と砂利にまみれて、血が流れていて、かすり傷では済まなかった怪我に、ひどく狼狽したような記憶がある。

『おい。お前。怪我してるぞ?』

勇樹が言うと、聖美はチラッと自分の膝を見るが、それでため呆然として動く気配もなかった。

感情の見えない目に、どこかイラっとしたのも覚えている。

『おい。保健室行くぞ』

手をつかんで持ち上げようとする勇樹の手を、今度は泣きそうな顔をして、聖美は頑なに拒んだ。