綺麗な薔薇には闇がある

状況を掴めずに、ただ呆然とその手を眺めていると


二人の手に引かれ、重ねられた手の持ち主が、私の目の前へ現れた


否、正確に言うならば───私の中から、姿を現した


それは、見間違うはずもない自分の姿


けれど、その瞳は、今よりは僅かに明るく、

虚無感と闇を背負った、虚ろなものだった


ああ……この眼を、私は知ってる


この眼は……




少し前までの、私のものだ



そして自分の今見ている光景が、


過去であり、時間の流れに沿って進んでいるものだと、なんとなく感じた



……だとすると、この後に待ち受けているものは───



私がそう考えている間にも、目の前の光景は進んでいて……


気が付けば、懐かしい風景が辺り一面に広がっていた



『ここは……』


ここは、この場所は……


───昔、陽優と二人で来ていた公園だ