彼はうっすら目を開くと


「美綺……逃げ、ろ……」


「何言ってるの? いや...「いいから早く!!」


私にそう叫んだ


「直に弟が、来る……俺はだいじょう、ぶだから……行け……」



苦しそうに顔を歪めながら紡ぐ言葉は途切れ途切れで


「嫌……陽優を放っておいて逃げるなんて嫌っ」


私は必死に首を振る


「俺の……一生の、お願いだ……」


その言葉は、陽優の最後を意味していた



「っ……分かった……」



「───そろそろ終わったかな?」


突如聞こえた声に、声の主を見上げると


血だらけの服を着た男が立っていた