真っ赤なワンピースに白のコートを羽織った長身の女性は店内をぐるりと見渡して、 「 マドレーヌ置いてます? 」 と言い、響さんのほうを見て微笑んだ。 「 ありますよ 」 「 何種類か焼き菓子を見繕って欲しいんだけど 」 「 マドレーヌやクッキーなどでよろしいですか 」 「 そうね。パティシエさんにお任せするわ 」 初めてのお客様なのか、無愛想さは置いておいていつもより丁寧な響さんの接客に私の出る幕はなく、先ほどまで感じていた存在意義を恥ずかしく思った。