「えっと……」
「ちょっと唯川さんの事困らせちゃうかもしれないですけど……覚悟しててください」
「か、覚悟って」
一体、何故、この若くて優しい三浦くんが私を……? 遊びか、騙しか、それ以外の何か?
こんなに純粋で真っ直ぐな彼をそんな風に疑うのも失礼だが、どうしても信じられない。だって、こんな私なんかを好きになってくれるわけがないんだもん。
それに、頭の隅にどうしても浮かび上がってくる〝イツキ〟という存在。
最近は、自分の会社とJECを行き来し、企画提案や資料作成でバタバタしていたし、前よりは思い出すことは少なかったけれど……忘れたわけじゃない。忘れてなんかいない。私が、彼を忘れられるわけがない。
だって、私は、彼の事をまだ好きだから。
「……あの、三浦くん」
「はい」
「それ、本気で言ってるの……?」
「はい。本気です」
恐る恐る聞いた私の問いに真っ直ぐ答えてくれる彼が、嘘をついているなんてとても思えない。
正直、私なんかを好きなわけないだろうと、私はまだ思っている。だけど、三浦くんの気持ちに嘘はないだろうし、その気持ちは純粋に嬉しい。
だけど、このまま話を進めて三浦くんを期待させてしまうのは一番やってはいけない事だと思う。
三浦くんの好意を断って、イツキが戻ってくるわけでは決してない。でも、イツキのことを忘れられないのは紛れも無い事実だから。
……きっと、変わることはないだろうから。

