タクシーを捕まえた三浦くんと私は一緒に乗り込み、三浦くんオススメのお店へと向かった。
タクシーは5分もかからないうちに止まり、タクシーの前には美味しそうなイタリアンのお店が聳え立っている。
「ここです」
「うわぁ。なんかオシャレ……まさか、三浦くんの行きつけか何か?」
「いや、前に一度行っただけなんですけど、イタリアンって女性好きじゃないですか。きっと唯川さんも好きだろうなと思って……って、こんな所で立ち話もあれですね。行きましょう」
「え、あ、うん」
『きっと唯川さんも好きだろうなと思って』という一言が少し胸にひっかかり、不覚にもドキリとした。
だけど、これに深い意味なんてないんだ。あるはずがない。
私は自分の頬を叩いて気持ちを持ち直し、そのお店へと入った。
店内は大きなカウンターと、丸いテーブルがいくつか並んだバーのようなデザイン。照明も暗めで、大人の雰囲気という感じだ。
「どう……ですか?」
丸いテーブルの4人席へとスタッフさんに案内され、腰掛ける。すると、とても心配そうに三浦くんが私の意見を伺ってくる。

