Polaris


とても言いづらそうに、でも、真っ直ぐに私を見て言った三浦くん。


「え?」

時刻は、18時過ぎ。

もうとっくに定時も過ぎていて、JECで用を済ませた後、そのまま帰れるよう荷物は全て持ってきている。

もう用も済んだし、普通にいつものように歩いて帰るだけだけど……。


「えっと、何か寄るところでもあるの?」

「あ、いや、寄るところっていうか……良かったらご飯、行きませんか?」

「えっ、ご飯?」

「はい」


全然考えてもみなかった三浦くんの返答に私の思考回路が一瞬止まる。

仕事仲間で後輩とはいえ、男の人と2人きりでご飯か……。

ここ最近は全くなかった異性からのご飯の誘い。それに私は一瞬頭を悩ませたが、深く考えすぎだと思い直し、首を縦に振った。


「うん。いいよ。行こう」

「え、本当ですか⁉︎ やった!僕、良いとこ知ってるんで、是非行きましょう!」

「はは、うん。分かった」


何故かジャンプする勢いで喜ぶ三浦くん。私はそれを微笑ましく見た後、嬉しそうに歩き出す三浦くんについて歩きだした。