「私、株式会社ナチュラルファクトリーの唯川と申します。合同プロジェクトの件でお伺いしたのですが……」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
あの大きな受付で受付を済ませ、通された応接室にてJECのプロジェクトリーダーを待つ。
しばらくすると、そのプロジェクトリーダーがやってきて、私は書類を手渡し、簡単にプロジェクトの話をすると応接室を出た。
────ガチャン。
「はぁ……き、緊張した」
応接室のドアを背に、大きく息を吐く。
本当に簡単な話しかしなかったから何とかなったものの……一歩間違えばプロジェクト自体が無くなりかねなかった。
ドクン、ドクン、とまだ早く鳴っている胸の鼓動を落ち着かせ、私は応接室から離れる……が。
「あれ、エレベーターってどこだったっけ……」
行きは女性社員さんに案内してもらったから良かったけれど、ここからどうやって一階へ行くんだっけ?
……嘘。まさか、こんなところで方向音痴発揮?
時々出てくる方向音痴が今ここで発揮されてしまったようで、私は廊下をウロウロと彷徨い始めた。

