「え、うそうそ。嘘でしょ」

会社の廊下をひとりぐるぐると歩き回った。昼間の会社でこんなことをしていれば、もちろん変人に思われるし、邪魔にもなる。

だが、誰もいないのを良い事に私はひたすら一人で呟きながら歩き回っていた。

イツキからの通知マークだということがわかった瞬間に、私の心はどくんどくんと跳ね上がり、少しだけ浮かれる。

内容はまだどんなものか分からないけれどイツキからメッセージが来たという事実が、ただただ嬉しい。

そして、その内容は出来ればいつものイツキのようにけろっとしていて〝返事返すの忘れてた〟くらいに流してくれていれば良い。そう思い、願った。しかし。


ボトッ────


「え………」


嬉しさから少し震えていた指先で表示したイツキからのメッセージは、私の想像とは遥かに遠いものだった。

その衝撃から私は足元にスマートフォンを盛大に落としてしまうが、今はそんなことは全く気にならない。

いつもなら画面が割れたかどうか真っ先に拾い上げて確認するのに、それが、出来ない。


……画面を見るのが、怖い。