営業部である三浦くんとは普段よく話すとかそういう訳ではないけれど、何かと会えば話している。
いや、話しかけてもらっているのか。
「うっかり定期忘れちゃって」
「え? 定期忘れたの?」
「はは、そうなんです。恥ずかしながら。そしたら、ここだけ電気ついてたから、消し忘れかなぁーと思って来ちゃいました」
そう言って笑う三浦くんの笑顔は、人懐っこさが全面に表れているなと感じる。三浦くんの笑顔に少し癒されながら、私もつられて笑った。
「意外とおっちょこちょいなんだね。三浦くん」
「え? 意外ですか?」
「うん。仕事とか凄く丁寧に頑張ってるイメージあるから」
「ええ!そんな風に見えてるんですか? 全然そんな事ないですよ? この間も課長に怒鳴り散らされましたもん」
「あー、課長かぁ。あの人怒鳴り散らすの好きだもんね」
ここの課長は、何かあればとにかく怒鳴る。怒鳴れば何とかなるとでも思っているのだろうかといつも思う。
「はは、ですよね。ほんと」
「にしても、三浦くんの何がいけなくて怒鳴るのか理解できないけど」
「いやいや、僕も悪かったんで仕方ないんですよ」
もっと頑張らないと、と三浦くんは真剣な表情で言ったけれど、私は丸く目を見開いて驚いた。

