「お疲れ様でーす」

「お疲れ」

「お疲れさま」


仕事に没頭して、少しでも暇ができればネガティブな無限ループへ陥る。そんなことを繰り返している間に、気がつけば18時。退勤時刻だ。


「唯川さんお疲れ」

「あ、はい。お疲れ様です」


上司に声をかけられ、慌ててイスから立ち上がる。

ぺこりと頭を下げたあとでもう一度イスへと腰を掛け直し、パソコンと向き合う。


次々と、私の背中を通り過ぎて行く他の社員達。「帰らないの?」と何人かの社員に問いかけられたが、私はまだ仕事が残っていると嘘をついた。

だって、家に帰ったって仕方がない。

家に帰ったって、また無限ループに陥ってしまうだけ。そんなの、分かりきっているから。

「ふぅ」とひとつ大きく息を吐いた私は、パソコンと向かい合って仕事を再開した。

出来るだけ、何も考えないように。

いつもみたいに、集中して、出来ることなら無心になろう。そう考えながら。