「だから、京子。後悔しない方を選んで。ちゃんと、向き合って。」
「後悔しない方……」
後悔しない方を、選ぶ。
ちゃんと真っ直ぐイツキに〝会いたい〟と伝えるか。それとも、伝えずに北海道を去るか。
「私は……」
イツキに伝えずに北海道を去れば、確実に後悔する事を分かっている。
イツキにちゃんと真っ直ぐ伝えて、『会えない』と言われても、それはそれで後悔するのかもしれない。
……でも、それは一人ならの話。
「私……会いたい。ちゃんと伝える。伝えてみる」
詩織に背中を押された私は、一人なんかじゃないから。
きっと、大丈夫。
イツキに跳ね除けられたってきっと大丈夫だと、そう思った──。

