「伝えるなら、ちゃんと真っ直ぐ伝えないと。遠回しに言った言葉が相手に伝わるなんて思ったら間違いだからね」
いつもより厳しい詩織の口調。その口調に怯える事も、驚く事もなく、寧ろ背中を押された私は詩織の目を真っ直ぐ見つめた。
「私、嬉しかった。京子がこうして話してくれて」
「詩織……」
「それから、京子に大切な人が出来て本当に本当に良かった」
詩織の言葉と、表情と、それから瞳。
詩織の全てから本当に良かったと思ってくれていることが伝わってくる。
私と、通っていた高校が一緒だった詩織。
私は、その頃から人付き合いが大の苦手で、嫌いで、誰とも接することがなかった。接しようと思ったことなんて一度もなかった。
そんな私とは殆ど真逆だった詩織は、嫌がる私に構わず毎日話しかけてくれたっけ。
次第に仲良くなっていって、気がつけば私は詩織無しでは寂しいと感じるようになって、でも、それでも他の人と仲良くなることは難しくて出来なくて。
そんな私の事を詩織は心配していたよね、いつもいつも。
そんな詩織を知っているから、詩織の言葉は私には凄く特別に感じた。

