「さっきの返事見て……イツキは私に会いたくないのかなと思ったの。その瞬間に、すごく胸が痛くなった。でも、それと同時にもっと会いたいとも思った。」
自分でも恥ずかしくなるくらいにさらけ出している心の内。私は、ここで詩織の表情を伺い、ヘラッと笑って話を少し変えた。
「はは、顔も見たことないのに変だよねこんなの。 まぁ、とにかく! 明日まで北海道満喫して帰ろうね。詩織」
よし、温泉でも行こうか。
と、浴衣を棚から取り出して、無理矢理笑って見せた。だけど、詩織にはそんなのお見通しだった。
「無理して笑わなくていいよ。京子。……ねぇ、このまま帰っていいの? ちゃんと会いたいって伝えたわけじゃないよね?」
返事をしない私に「ちゃんと言わないと後悔するよ、絶対」と、言葉を付け足して立ち上がった詩織が、私の隣に腰を下ろした。
……分かってる。ちゃんと分かってる。
「そのイツキ君の返事が〝会わない〟って言ってるようにとれたなんて、ただの言い訳だよ。キョン」
詩織の言うことは正しいし、イツキが会わないと言ってるようにとれるなんて本当にただの言い訳。会いたいと言えない私の逃げ道。

