「ごめん! お待たせ」
「あ、ううん!大丈夫」
御手洗から顔を出した詩織に何か勘付かれないよう、自然にスマホをカバンへ放り込む。
イツキの事は、きっと何か予定があって忙しいのだろう、と考えることにした。そうでないと、せっかくの北海道旅行が台無しになってしまいそうだから。
「よし! じゃあプランどおり、まずは函館朝市ね」
「うん!」
ずっと食べ歩きを楽しみにしていた詩織の一番に楽しみにしていた場所、函館朝市。
北海道ならではの美味しいものが食べれることを期待し、私と詩織は歩き始めた。
空港からバスで移動すること約20分。函館朝市前でバスが停車。
「あー、もう! お腹すいてきた!」
この場を凄く楽しみにしていた詩織はバスを降りた瞬間この一言。
「食べ過ぎてお腹下さないでよ? 詩織」
「あはは、気をつける」
私も詩織と同じく今にもお腹がキュルルと音を立てそうだったけれど、それは詩織には内緒。

