「……まもなく、この飛行機は函館空港に着陸いたします」


ぼんやりとした意識の中で、ごしごしと瞼を擦り開ける。

窓の外を見てみると、機内アナウンスのとおり飛行機は空港へと着陸しようとしていた。


「詩織、もうすぐ着く」

「んー……うん」


隣で熟睡していた詩織の肩を揺すり起こし、私は荷物をまとめ始める。スマートフォンも、持参したひざ掛けもバッグに詰め込んだ。既に準備は万全だ。


「京子、準備早すぎでしょ」


どんだけ楽しみにしてるのよ、と付け足した詩織に私はアハハと笑って返した。


カバンの中にある、電源の切られた私のスマートフォン。

飛行機から出たらそれを真っ先に確認しようと私は決めていた。そして、そのことを考えて、ずっと心を弾ませていた。



数時間前の、関西空港。

この飛行機に乗り込む前に、私は、イツキへといつものようにメールを送っていた。


《イツキ、おはよう。 実は今日ね、これから飛行機に乗って北海道に行くの!》


珍しく記号(ビックリマーク)付きの明るいメール。