「ねぇ、俺がまだキミのことを覚えてた頃、何て呼んでた?」

「えっと、さっきと同じです。キョンキョン……って呼んでました」

「それじゃあ、キョンキョンと俺は、どのくらい付き合ってたの?」

「四年と少し、です」

「四年と少し……そんなに一緒に過ごしてたのに、俺は忘れちゃったんだ」


最低だね、と言って苦しそうに笑った樹に私の胸までぎゅっと締め付けられた。

そんなに悲しくて苦しい顔しないで。どうしようもなくて、もどかしくて、私まで苦しくなる。


「ねぇ、キョンキョン」

「……なに?」

「キミは、こんな俺のどこを好きでいてくれたの?」

「一言では……まとめきれない。だけど一つ言えるのは、私のことをちゃんと見てくれた初めての人で、〝この人しかいない〟って、そう思える最初で最後の人。本当に……私は、ただただ貴方の全てが好きなんです」


真っ直ぐ、樹の目を見て言った。

昨日までの私たちのことを知ろうとしてくれている樹に、少しでも私の気持ちが伝わればいい。そう思い発した私の言葉を聞いた樹は、私を見たままで優しく微笑んだ。


「ああ……なんか、今、分かった気がする。どうして俺がキミのことを選んだのか」