私は視線を自分の胸元あたりに落とした。
樹がかけてくれたネックレスは、ピンクゴールドでハートの形のモチーフがついている。そして、そのモチーフの中にはカットストーンが並べられているというデザイン。
私はこのデザインに見覚えがあった。このネックレス……。
「前にキョンキョンさ、ここでファッション雑誌読んでたでしょ。これ、その時キョンキョンが『可愛いなぁ』って言ってたやつ。キョンキョンがトイレ行った時に、忘れないうちにって急いでメモしておいたんだ。それで、橋本に京都から買って持ってきてもらった」
だんだん涙で視界が滲んでいく。その中で、樹が幸せそうに笑っていた。
何故か、溢れてくる涙が止まらなくて、私はずっと泣き続けていた。どうしてこんなに泣けるのかは分からない。だけど、悲しくて泣いてるんじゃなくて、嬉しくて泣いていることだけは分かる。
「……キョンキョン、泣かないで」
樹の指が、ゆっくり、優しく私の頬に触れた。そして涙を拭うと、私の両頬に両手を添えた。
「本当、俺、キョンキョンのこと泣かせてばっかりだね」

