真っ暗な視界と、微かに聞こえてくる物音。

しばらくすると、樹の手が私の首後ろあたりに回ったような感じがした。そして、首後ろに触れた樹の指が離れると「いいよ」という声が聞こえる。


「開けるよ……?」

「うん。開けて」


ゆっくりと瞼を開いた。すると、私の首にはピンクゴールドのネックレスがかけられていた。


「え、これ……」

「本当は12時ぴったりに渡せたらよかったんだけど……キョンキョンが急かすからさぁ」


今日は3月31日。明日、4月1日は私の誕生日だ。

12時ぴったりに渡せたらよかったと言った樹の言葉からすると、これは、私への誕生日プレゼント……?


「あのナースさんと話してたのも、今日はキョンキョンにサプライズするんだよって話をしてたんだよね」

「そう、だったんだ……」


別に変な勘違いとかしてたわけじゃない。だけど、あのナースさんと何を話していたのかを話せない理由はこういうことだったんだ。


「ちょっとまだ早いけど、誕生日おめでとう。キョンキョン」

「樹……嬉しい。ありがとう」


正直、毎日が忙しく過ぎていて自分の誕生日の事なんて考えてる暇はなかったし、何より、樹が私の誕生日を覚えているという自信もなかった。

誕生日を覚えてくれていて、こうしてプレゼントまで用意してくれているなんて、嬉しくてたまらなかった。