翌日。私は仕事終わりに、昨日言われたとおりシールを買った。一枚108円の可愛らしいペンギンのシール。
「……樹……?」
今日も、病室の前で何度か深呼吸をしてから部屋に入り込んだ。すると、部屋にはナースさんが来ていたらしく、樹はナースさんと話をしていた。
「あ、こんにちは」
「こんにちは」
振り返り、私に気づいたナースさんは、昨日会った若くて可愛らしいナースさん。
挨拶をすると、ナースさんはニコニコと笑って「それじゃあ、私はこれで」と部屋を出て行ってしまった。
「なに話してたの?」
「んー? なんの話でしょう?」
「なによ、素直に教えてよ。それとも何、教えられないようなことでも話してたの?」
なんとなく気になって聞いてみたけれど、教えてくれない樹。私はまた、少しだけムッとしてしまった。
全く疑ってはいないけれど、単純に、聞いても教えてくれない樹にムッとしたのだ。
「あー!違う!違うから、キョンキョン!ごめんごめん、怒んないでよ。ね?」
私が少し怒っていることを察したのか、少し焦った様子で私を宥めに入る樹。必死で宥めているけれど、宥められたって許してやらないんだから。

