この言葉に嘘偽りなんて何一つない。全部、全部、本当の事だ。


「今度、またそんな事言ったらぶっ飛ばすからね」


私は右手をグーにして樹にみせた。そうすると、樹は大きく目を開いた後でクスクスと笑い始めた。次第にその笑い声は大きくなり、病室に「あはは」という樹の声が響いた。


「あはは。流石はキョンキョン。もう、本当に参っちゃうよ」

「うるさい。笑い過ぎだから」

「だって……ああ、なんかもう、俺絶対にキョンキョンに勝てる気がしない」

「当たり前よ。バカ」


クスクス、と肩を揺らしてずっと笑い続けている樹。明るく、自然と、いつものように笑えていた彼に少しだけ安心した。


「あ、キョンキョン」

「なに?」

「明日、ちょっと買ってきてほしいものがあったんだけど……」

「あ、うん。いいよ。何?」


うーん、と言って悩み始めた樹。恐らく、何を買ってきて欲しかったのかを忘れてしまったのだろう。

私は返事を急かすことはせず、プリンのゴミを片付けながら黙って返事を待っていた。