Ｐｏｌａｒｉｓ

「……そうです。青柳さんの所に行けって言ってます」

「えっ……なんで」

「もう、僕を理由に我慢する必要なんてありませんよ。僕のことは放って、今すぐ青柳さんの所へ行ってください」

「み、うらくん……」


どうして、と小さく呟いた。

その私の小さな一言を聞き逃さなかった三浦くんは、眉を八の字にしてゆっくりと口を開いた。


「元々、分かってたんです。唯川さんの中から青柳さんを消し切ることなんて不可能なことくらい。だけど、それでも唯川さんと一緒に居たかったんです。恋人として。……あの日……青柳さんとちゃんと話してきてください、ってそう言った時。もう僕は唯川さんが帰って来ないのを覚悟してました。だけど、唯川さんは優しいから……僕の事を考えて青柳さんを追いかけられなかったんでしょう？」


だから、今もこうしてここにいるんでしょう？ そう言って、三浦くんがニコリと笑う。

その笑顔は、切なくて、辛い。それなのに、何故か勇ましくてかっこいい。


「……別れましょう。僕達。もう、これからは今までと変わらない先輩と後輩です。だから……次こそ、ちゃんと自分の気持ちを伝えて、追いかけてください。先輩の好きな人のことを」