「三浦くん……」
「何やってるんですか」
「えっ……」
「昨日、JECの橋本さんに聞きました。青柳さん、今日出発するみたいですね。東京に」
三浦くんの言葉で、樹の行く先が東京なんだと初めて知った。そして、その距離にまた私は少し胸が痛めつけられたような気がした。
「せっかく僕が話して来いって言ったのに……何やってるんですか。全く」
「え……?」
「ちゃんと自分の気持ち、伝えないとダメじゃないですか。……ちゃんと、後悔しないように伝えて、青柳さんを追いかけないとダメじゃないですか」
三浦くんの言いたいことは、分かるようで分からない。
後悔しないように気持ちを伝えて、樹を追いかけないとダメって……それじゃあ、まるで……。
「三浦くん、私に……樹の所に行けって言ってるみたいだよ……?」
樹の所へ行きなさいと、そう、私のことを突き放しているようにとれた三浦くんの言葉。
でも、三浦くんは帰ってきてと言ってくれていたよね? 樹と、ちゃんと後悔が残らないように話して、三浦くんの元に帰る約束をした。だから、私……。

