確か、今年21歳になるはずの彼女達。
義務教育の半分以上をゆとり教育の中で過ごしている彼女達に対して、ゆとり教育なんて期間はたったの1年も過ごしていない28歳。……どう考えたって、理解し合える訳がない。
でも、そうは思っても、同じ職場で働く者としても、一人の大人としても、この子達の未来を考えると放っておける訳もない。
私は、「はぁ」と溜息を小さく吐いて自分の席を立った。
「ちょっと、今井さん、芹川さん。電話鳴ってるのにどうして出ないの? 今は勤務中なんだから、そんな話より先にすることあるでしょ?」
いつまでも、ぶつぶつと文句ばかり並べている彼女達の元へと近づいた私。そんな私の方を見て、あからさまに嫌そうな顔をする今井さんと芹川さん。
「はぁーい。ごめんなさい」
「すみませんでしたー」
二人は一瞬顔を合わせて苦笑いすると、お互いに向かい合っていた身体を、椅子ごと正面に向けた。
謝ってはくれたけれど、多分、反省はしていない。また明日には同じように二人で愚痴を並べているに違いない。
それも分かっているけれど、私はひとまず自分の席に戻り、鳴っている電話の受話器をとろうとした。

