今、私が好きな人。その人と私は結ばれない運命で、このまま好きでいても辛い思いしかしないことは分かりきっている。
それなら、こうして私に想いを寄せてくれている三浦くんを好きになれたら、どれだけ幸せか。
三浦くんに幸せにしてもらてたなら、私のこの気持ちはどれだけ楽になるか。
三浦くんのもとへ行くことができたなら、私はどれだけ報われるのか。
どうしよう………私、行きたい。三浦くんのもとに。
「でも……三浦くんの気持ちを利用なんて……できない。したくない」
「……唯川さん」
三浦くんが大事だからこそ、したくない。そんなこと、できない。
そう強く思っている私の瞳を三浦くんの大きな瞳が捕まえてくる。そして、彼は優しく笑った。
「利用なんかじゃないですよ。僕が来て欲しいと心の底から願ってるんですから」
ただの僕の我儘です、と私の手をぎゅっと強く握りしめてくれる頼もしい手。
優しい微笑みと、温もりに、私の瞳からは何故か涙が溢れてしまう。
私は、三浦くんの手をぎゅっと握り返して、強く願い、固く決意をする。
「いきたい。私、三浦くんのところにいきたい。三浦くんのことを……好きに、なりたい────」

